映画「プレステージ」感想レビュー解説 これは映画と言う名のマジックだった

映画

実はちょっと前にマジシャンになりたいと思ってた頃があったんです。

マジックの世界ってめちゃめちゃ奥深くて勉強しだしたらマジック以外のことでも役に立つくらい深い内容なんですよ。

例えば、プレゼントか営業とかにも案外使えそう。

エンタメやパフォーマンスを学ぶにはマジックがいいんじゃないでしょうか。(適当)

そんなマジックの魅力を映画に落とし込んだ作品が

クリストファー・ノーラン監督の「プレステージ(2006)」

監督がノーランってだけで信頼度高いですよね。レビューいらんのじゃないかな。

でもとにかくすごいんですよこの映画!

語らせて欲しい!

まだ観てない人はとりあえずあらすじとネタバレ無しの魅力を伝えた感想まで見て、もう観た人はネタバレありまでお付き合い下さい。

言わずと知れた(誰も知らん)マジック好きの僕の大絶賛のマジック映画の紹介です。

先ほども言いましたが本記事は、前半はネタバレなしの内容で魅力を伝えています。後半はネタバレありのこの映画の”何がすげぇのか”っていう内容の構成になってます。

あらすじ

プレステージ

19世紀末のロンドン。ボーデンはライバルであるアンジャーの瞬間移動マジックを調べるため、彼のマジックの最中に舞台下に侵入する。するとアンジャーはボーデンの目の前で、2人にとっていわくつきの水槽に落ちて溺死。そばにいたボーデンはアンジャー殺害の容疑で逮捕される。
遡ること数年前。若きアンジャーとボーデンは、ある奇術師の下で互いに修行していた。ある時、助手であったアンジャーの妻が水中脱出マジックに失敗し溺死する。その原因はボーデンが結んだロープであった。2人は決裂し、アンジャーは復讐のためにボーデンの手品を失敗させ、ボーデンは左手の第4・第5指を失う。以後、2人は互いの邪魔をしながら激しく競い合うようになる。
Wikipedia

感想ネタバレ無し

マジックの大事な3つのパートを知ってますか?

プレッジ(確認) ターン(展開) プレステージ(偉業)

この3つのパートで基本なりたっています。

今作の映画もマジックのような構成になっていてこの作品の最後の”プレステージ”はぜっっったいどきも抜かれます!

約2時間目を凝らしても絶対にその種はラストまで分かることはない。

1回観た後何回も巻き戻しして観まくりました。

巧妙に作られた伏線は流石の一言です。

だが、それだけじゃないのがノーラン監督。

登場人物の性格がしっかり滲み出ててシナリオとちゃんとマッチしていて物語に入り込みやんすいんですよ。

ちゃんとキャラの個性を生かしているんですよね。

最強のパフォーマーと最強のトリッカーのマジックバトル。

マジックに取り憑かれた2人のマジシャンの人生をかけた戦いとその裏にある信念、憎しみ、その他もろもろが上手く描かれていました。

マジシャンにとって大切なパフォーマンスとトリック。それぞれの天才が勝負するってのがもう熱すぎる!

人間のドラマとシナリオ構成が巧妙なノーラン監督の流石と言った作品でした。

しかもノーラン監督作品の中じゃめちゃめちゃ観やすい作品じゃないでしょうか。

テネットとかメメントみたいな複雑さはほぼないです。

感想ネタバレアリ

ここからは先の感想はネタバレアリの内容になっています。

”何か”に取り憑かれた様な人生を送るアンジャーとボーデンについてや、このストーリーのマジック的要素の考察など

一度でも試聴した人向けの内容です。

”何か”に取り憑かれた人生

取り憑かれたような人生を送ってる人って鬼才だったりしますよね。

アップルの創始者スティーブ・ジョブズも自身のテクノロジー開発に取り憑かれたような人生送ってます。

気になる方は是非映画スティーブ・ジョブズをみて下さい。

今作の主人公、パフォーマーのアンジャーとトリッカーのボーデン。2人の人生はまさに”何か”に取り憑かれたような人生でした。

彼らは確かに”何か”に取り憑かれていた。

だが、彼らが取り憑かれていた”何か”は大きく異なり彼らに訪れる結果も大きく違いました。

師匠のカッターに見込まれプロマジシャンとしてプロデュースされたアンジャー。

パフォーマンスの能力を開花させマジシャンとして成功していく彼が取り憑かれていたモノは”若さ”だ。

アンシャーは下積み時代にボーデンの事故?失敗?によって妻が亡くなってしまった復讐心を抑えれずボーデンに何度も復讐を仕掛ける。ボーデンの人間瞬間移動のトリックを見破れず、人気になるボーデンにかなり執着している。

新しい恋人もボーデンに取られるし、確かにこれはアンジャーの身になると復讐心燃えたぎりますよね。

その野心と復讐心に歯止めを効かせれなかったアンジャーは正に”若さ”に取り憑かれていた。

その結果タネのない禁断のマジック(ステラのコピーマシン)装置を使い続けました。そしてボーデンを死刑まで追い込む。

アンジャーは何もかも奪っていったボーデンにどうしても勝ちたかった。これこそがアンジャーに取り憑いてた”若さ”だ。

一方ボーデンに取り憑いてたモノは”マジック”そのもの。

彼のモットー「奇術の為なら人生さえも犠牲にする」が正にそれを物語っていますよね。

モットー通りボーデンは奇術に人生かけてましたよね。

自作の奇術と自己プロデュースでマジシャン活動を頑張っていました。

ですがここまでじゃマジシャンとして必死に頑張ってる人止まり。

彼が、いや彼らが本当に取り憑かれてるとわかる瞬間がラストに明かされます。それはボーデンが実は双子だと言うこと。

そして2人で1人のボーデン、1人のファロンとしての人生を歩んでいたんです。(ボーデンは双子ではなくステラの元で一度コピーマシンを使った説もある)

ボーデン兄弟は双子を生かし人間瞬間移動を成功させたが

マジックに取り憑かれたゆえ、愛する家族との関係に亀裂入りまくり。

愛する人をを犠牲にするほどマジックに取り憑かれていたんです。

アンジャーとボーデンで大きく異なる取り憑かれた”何か”。

お互い取り憑かれた事で失った代償もかなりでかいが運命を左右したのはその”何か”だったのです。

“若さ”に取り憑かれたアンジャーは結局コピー装置を乱用して手を汚してしまう。

“マジック”に取り憑かれたボーデンはマジックで手を汚すことなく誠実なトリックで勝負。

その結果、2人のマジシャン人生をかけた勝負は手を汚したアンジャーは命を失う事に。

“何か”に取り憑かれるほどのめり込むと犠牲や代償がつきもので、手を汚すような事をするの必ず大切なものを失う事がこの映画で学べました。

マジックのようなシナリオ構成

この映画そのものがもう一つのマジックのような作品。

プレッジ、ターン、プレステージがちゃんとあるんですよ。

プレステージってのはもちろん映画のラストの見せ場の事。

ってことはもちろんプレッジもターンもちゃんとあるんです。

そもそもマジックのプレッジとターンってなんなの?って話からになるんですが

これは映画冒頭にカッターおじさんが1つのマジックを例に説明してますよね。

因みにマジックを練習しててプレッジとかターンとかプレステージって言葉聞いた事ないですw

僕が知ってるマジックの要素も含めてこの映画の構成を考察していきたいと思います。

まずプレッジの部分。

プレッジとは確認の事。例えば、トランプを使ったマジックで言う「あなたの選んだカードはこれですね?」の部分です。

この映画のプレッジは最初の”アンジャーが水槽で溺死するシーン”。確かにここで僕らはこの映画一つの事実を確認しています。

じゃあこの映画のプレステージは面会で”ボーデンの娘を連れて現れたコールドロウ卿が実はアンジャーだった”シーンになりそうですが実は違うんです。

あのシーンだけでも度肝抜かれましたよね。けどあそこは本当のプレステージを盛り上げる為の一つの演出に過ぎないのです。

本当のプレステージである”処刑されたはずのボーデンが現れる”って言うラストから注意を逸らす為のミスディレクション(注意を逸らす為のテクニック的な)の役割を果たしています。

ミスディレクションはマジックの中で1番と言っていいほど重要な要素です。

マジックに引っかかってる人はみんなミスディレクションされてるんです。タネやしかけから目を逸らすために。

そしてこのミスディレクションはかなり巧妙なモノになっています。

それはこの映画のターン(展開)の部分に仕掛けられています。

ターンはトランプのマジックで言うところの選んだカードをカードの山札に適当に入れる部分。

その後「これであなたのカードはどこにあるかわかりません」ってマジシャンが言いますよね。それからマジシャンは”あーだこーだそれっぽい事”をして「あなたのカードを当てます」って言いますよね。ここまでの部分がターンです。

この”あーだこーだそれっぽい事”はタネから目を逸らす為のミスディレクションを行っているんです。大半の簡単なマジックのタネはマジックの開始と同時にもうほぼ完了してます。

映画言うターンは”アンジャーとボーデンの下積み時代からコールドロウ卿としてアンジャーがボーデンの前に現れるシーン”までがターン。

そしてこのターンの中にミスディレクションが活躍されています。

映画のラスト見れば最後の伏線回収の部分で何がミスディレクションだったのかわかりますが映画では説明されてない大きなミスディレクションな要素を一つ解説しようと思います。

それは、最初の下積み時代の水槽事故のシーンです。あれが一番のミスディレクションになっているんです。

「ん?どう言う事?」っと思ってる人もいると思うのでもっと噛み砕いて説明すると

ボーデンの結び方がきっかけで起きた水槽事故でアンジャーがボーデンに対して復讐心を宿す。

そしてアンジャーはボーデンがマジシャンとして活躍できないように色んなことします。

この復讐劇が実はミスディレクションになっているんです。この映画のタネになるボーデン側の回想ストーリー。

地道なマジシャン活動とか違和感のある結婚生活から目を逸らすためにアンジャー側の回想ストーリーは復讐劇となっているんです。

なんとなくアンジャー側の回想ストーリーの方がフォーカスされているようにも感じました。

これで観てる側は完全にアンジャーに釘付けですよね。

「あれ?そもそもなんでアンジャーに釘付けなんだ?」

そこまで気がついた人はカンが良いですね。

僕もアンジャーの回想ストーリーの方がフォーカスされているように感じたんですがこれも仕組まれているんです。

しかも一番最初に。

映画冒頭の”アンジャーが溺死するシーン”でもう僕たちはアンジャーに釘付けなんですよ。いきなり死んだアンジャーを目にした僕らは回想ストーリーで「なぜ死んだんだ」と言う事で頭が一杯にさせられてるんです。気になって仕方ないんですよ。

なのでボーデンが実は2人いたヒントに全く気づかずに物語の”プレステージ”で「嘘だろォォオ!?」ってなっちゃうんです。

アンジャーで頭がいっぱいな僕らはまんまと引っかかってるんですね。お見事です。

実はマジックでも似たようなトリックがあるんですよ。

でも、これは見破ろうとしてもわからない。

知らない方が良い。

騙されている方が良い。

そんな事もありますw

カッターおじさんマジすげぇ

この映画の人物で一番すげぇのはアンジャーでもボーデンでもなく

僕はカッターおじさんだと思うんです。

カッターおじさん推しなんです。

何がすごいかって

絶対何かトリックがある!と思われてた人間瞬間移動のトリックをちゃんと見破ってたんですよ。

「2人いるんだ」って。

これ見破ってたのカッターおじさんだけ。

長年の経験なのか知らないですけどなんとなく分かってたんでしょうね。

てか、それ以外無理だろって感じのマジックでしたけどね。

それでもアンジャーは「絶対何かあるはずだ!」と野心を燃やしまくり。

そんなアンジャーに”若さに取り憑かれてる”と注意をしたのもカッターおじさん。

カッターおじさんの言った通り悲惨な結果になりましたよね。

そんなカッターおじさんの一番好きなシーンがラストのシーン。

これカッターがいいって言うかこのシーンが粋な感じなんですよね。

“何かを目の前から消すでけでは十分とは言えない

消えた物を戻して見せなければ”

と言うナレーションと鳥を再び出すのと同時にボーデンを娘の前に呼ぶこのラストシーン!

非常に粋でマジシャン映画らしいラストですよねぇ〜

このサプライズ考えたのはきっとカッターおじさんなんじゃないのかな。ボーデンの娘の事気にかけてましたもんね。って勝手に妄想してます。

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