夢や目標に向かって爆走してた人。
それが打ち砕かれた人。叶った人。
そんな人達に観てほしい作品「ジョイ(2015)」
家族に振り回されるだけの多忙な日々を送るシングルマザーのジョイが特許とれそう!って商品を思い付き成り上がるまでの物語。
成功と失敗が分かりやすくステップごとに展開していく構成が物語に入りやすい。
“今頑張ってるんだ“て人には感情輸入して見て欲しい作品です。
ジョイが壁に向かっていくところ、取り巻く周りの人物に振りまされながらもタフな心と行動力で乗り越えていく姿。
都合の良いだけの展開じゃなく挫折も描かれている所。
きっと励みや学びになる事があるんじゃないかと思います。
実際僕はこの映画でブログのモチベも上がったし、なんか今やってる事全部のやる気が上がりました。
この映画観てレベルアップしました。
物語の展開ごとにレビューをしていますのでまだ見てない人にはネタバレを含む内容になっています。
あらすじ
1989年のアメリカ合衆国。シングルマザーのジョイ・マンガーノ(英語版)は二人の子供を含む家族の面倒を見るため懸命に働いていたが、その暮らしはお世辞にも良いものとは言えなかった。そんなある日、割れたグラスの掃除に使ったモップを絞ろうとして手を怪我したジョイは、触らずに絞ることが出来るモップのアイデアを思いつく。早速ジョイは父親の恋人に投資を頼み、父親の工場でモップを生産するが、誰も彼女の発明品には見向きもしなかった。落胆するジョイだったが、ふとしたきっかけでショッピングチャンネル「QVC」のニール・ウォーカーと知り合い、ついに彼女の発明品が番組で紹介されることとなる。ジョイはこれでようやく成功を手にしたかのように思えたのだが、彼女が乗り越えなければ試練はまだ数多く存在した。
Wikipedia
物語の序盤にジョイの魅力たっぷり
映画の前半は主人公のジョイとその家族のドタバタ劇がコメディタッチに描かれていて面白かったです。
デニーロが出てくるとは思わなくてびっくり!調べると意外と豪華なキャスト陣でした。
ドタバタ劇の内容は、とにかく自己中な家族に振り回され、死にそうなくらい忙しい毎日。
テレビ漬けで何もしない母に、まだ甘えん坊の幼い子ども。2年前に離婚したのに地下の部屋で居候する元夫。極め付けには離婚して離れ離れになったはずの父親まで押しかける始末。唯一の救いのおばあちゃんも身体があまり良くない。そしてちょいちょい現れる姉。実はこの姉妹は母違いの姉なんです。離婚する時は父の方について行った。ちょいと嫌味な姉です。
もうめちゃくちゃですね。めちゃくちゃですし、複雑な家庭環境。
それと反するようにジョイの幼くて”まだ”幸せだった頃も回想シーンで描かれている。
自作のジオラマ?で自分の夢物語を語りながら姉妹と仲良く遊んでいました。
そのシーンでジョイは「険しい道のりを乗り越えて家を建てるの。そこでみんなが喜ぶものを作るんだ」と言っていました。あの頃のジョイがまさか本当に人が喜ぶものを作るだなんて思ってもなかったでしょう。
この回想シーンがこれから起こるジョイの半生を物語っていますね。
映画の冒頭として最高の始まり方でした。
クセ強めのわけわからん家族と、それに振り回されながらもどこか愛情を注いでるように見える健気な姿が最高です。
このやり取りを見ると、クセは強いんだけどきっとみんな”悪い人”じゃないんだろうと感じゃちゃいます。例えば家族間で挨拶するたびにほっぺにキスする所とか。
てゆーかジョイの人柄がそうさせてくれてるんですよね。
ジョイ良いな〜。ここ前半だけでジョイの事好きになりました。
そして、ちょいちょい現れるジョイのメンター的な存在である親友のジャッキー。彼女は元夫との出会いのきっかけになった人物でもあります。ジャッキーが出るとなんか安心感があるんですよね。
映画前半でクセ強めな登場人物がまた1人現れます。
ジョイの父ルディの彼女「ルーディ」
名前似てて紛らわしい…。でも2人はそれを運命だと感じてるみたいですね。
2人の出会いは出会い系の有料ダイアル。今で言うマッチングアプリみたいな感じですね。デニーロが恋してるんですよ。それだけで面白いとか思っちゃう。
ルーディは未亡人で今は亡き夫の残した資産で生活してる富豪。
ルーディはマイボートにルディとジョイ達家族を誘ってボートの上で飲み会を開きます。その時にジョイは赤ワインのグラスを床にぶち撒け、それをモップで掃除する羽目に。モップはベトベトでグラスの破片塗れ。それを手で絞って手は傷だらけ。またも災難続きなのかと思ったら、この出来事がジョイの発明のきっかけに。
それで産まれたのが「手を使わなくても絞れるモップ」です。
ここからがジョイの成り上がり人生の始まり。
成功して欲しいって気持ちがここまでで強く生まれてしまう前半の内容でした!
中盤は険しい道のり 学ぶ事が多い内容
ここからが物語のメイン。
「手を使わなくても絞れるモップ」を思いつきモップ作成から販売までの奮闘が描かれています。
ジョイは亡き夫の資産を沢山持ってるルーディに商品製作のための投資をお願いすると、ルーディはジョイに投資価値を見極めるための4つの質問をします。
その質問の答え次第で投資価値があるかどうかを見極めるそう
その4つの質問とは
その1「通っていた高校は?」
その2「高校でのあなたはどんな人?」
その3「半年以内に十分な利益を上げる条件をクリアできる?」
その4「あなたは部屋にいる。テーブルの上に銃が一丁。部屋の中にはもう1人あなたの商売敵がいる。生き残れるのはどちらか1人。あなたには守らなければいけない事業がある、モリスの財産がある。さぁどうする?銃を取る?」
まぁ、面接みたいな感じですよね。
この質問でジョイがどんな人なのか見極め、投資することに決めたのです。
でもこの質問、ちょっと変ですよね。
これが人の価値を見極めるために必要な情報なんでしょうか。
ごもっともな事言ってるようですがもっと大事な質問あったような気がする…だってビジネスの話しですよね?
出身高校は?とか、利益をだせる?とかルーディ自身の事しか考えてないような質問の気がするのは僕だけでしょうか。
そしてこの質問を遮るように割り込んできた姉。「そんな事どうでもいい…リスクがでかいわ。これはビジネスなのよ?私は10年父の工場を管理してきた!」と見事なマウント。
なんか最近よく、こんな人をリアルで見るんですよね。「ビジネス!ビジネス!」つってビジネスって言葉使えばごもっともな気がして本質を見れてない人。
そんな人を表してるように思えます。
本質を見れてない人がよく表れるシーンがあります。
“特許の実施料”の話をする時。
この話合いに幾つか違和感が生まれます。
その違和感に食いついたのはジョイの事を心配していつもジョイの味方をしてくれた元夫のトニー。
事の発端は”手を使わなくても洗えるモップ”と似た製品を考えた人が香港にいる事が発覚した。その香港の会社の代理人をしている人が”ダラスの男”。その男は話がわかる人でしかもプラスティックや金属部品をどこよりも安く作る工場を持ってると。
ルーディの弁護士は「訴えられないために特許の実施料をダラスの男に払ったほうが良い」と言った。
そう、この弁護士の発言が違和感です。
その弁護士の発言に違和感を感じたトニーは
何度も確認をとるように「ほんとにこれでいいのか?工場に実施料を支払うっておかしくないか?」と話すがみんなは「ビジネスでは良くある事よ!」「あなたはビジネス分かってない!」などと言い頭ごなしに発言を遮る。
いるいる〜。こんな人いるわ〜!
良し悪しを判断できず都合のいい事だけしか耳にしないタイプの人!
トニーが感じた違和感とは「特許の実施料を支払う相手に製品のパーツまで作らせて大丈夫なのか?」って事。
確かに…これはもっと深く考えるべき事ですよね。
でもルーディは弁護士に言われた事をただ鵜呑みにしてるだけなんで違和感に向き合わず「えぇ!それが一番だわ!」と。
いろんな違和感、心配事を追求するトニーに対して父ルディが「もうその辺にしとけ」で話を終わらす。
“問題点と向き合わない人”と”誠実に問題と向き合う人”がここで大きく分かれましたよね。
“問題点と向き合わない人”つまり、父ルディとルーディ、姉。この3人の頭にあることは自分達がお金持ちになる事だけなんです。なので部外者であるトニーは一切このビジネスについて関わるな!と思ってるんでしょう。だからトニーの言葉に耳を傾けないんでしょうね。
それを黙って見るジョイ。
ジョイの気持ちを考えると複雑な気分になりますよね。結局、ダラスの男に実施料を払ってパーツを作る事にしたんですがこれが後に大変なことになるんです。それは物語のラストで明らかになります。
中盤その2 次のステップで奮闘するジョイ
なんやかんや、製品を作る所までありつけたジョイは次のステップへ向かいます。
次のステップとは”製品の販売”です。
作るだけで莫大な費用と苦労。そしてさらに大変な販売。ジョイの険しい道のりはまだまだ終わらないです。
この険しい道のりはこれまでの反面教師的な意味じゃなくちゃんとビジネスとして為になることもちらほらでてきます。
為になる所も見どころですが何より目標に向けて直向きに頑張り、奮闘するタフなジョイの姿が素敵なんですよね。
序盤で感情輸入したので尚更、応援…ってか自分も作ってきたかのような気持ちで見入ってしまいました。
トニーのおかげでテレビショッピングに宣伝するところまでありつけた。トニーの知り合いに販売業の大物がいたんです。ここで登場する重要な人物がニール。ニールは大手通販会社のプロジェクトリーダーでかなりやりての人物。ニールにお願いしてテレビショッピングの通販にちゃんとした役者を使ってその商品を紹介させたが1度目は失敗。しかも悲惨な結果。
身も心もぐちゃぐちゃにされるが、めげずにニールのもとに向かい文句を言う。
「私に出演させて!」と直談判しに行ったのだ。
この行動力とタフさはほんとカッコいい。ここでもジョイに惚れました。
そして2回目の出演。
頭が真っ白になるほどのライトと緊張感が張り詰める殺伐としたセット。冷たいカメラの視線。全てに飲まれてしまったジョイは「え…あの…すみません…ライトが眩しくて…」としどろもどろ。がんばれジョイ!
ニールは「これはまずい…」と頭を抱えてた所に番組宛に一本の電話。
ニールは「電話か?感じ良さそう?とりあえず繋げ!」ニールのナイスな判断。
電話の人は「どーもニューヨークのジョアンよ。触れずに使えるモップを欲しくて電話したんだけど…実は割れたグラスを掃除するときにモップを手で絞ってウッカリ手を怪我してしまい…ジョイさんはそんな経験ないですか?」
この電話先の人物はなんと親友のジャッキー!
ジャッキーカッコよすぎ…。このジャッキーの行動イケメンすぎる…!
この電話のおかげでジョイはモップについて饒舌になりそれを見てニールがカメラマンにナイスな指示を繰り出す
その連係の結果、購入の電話回線のカウンターが4万以上!
寝っ転がって見ていた僕の体も思わず起き上がってしまいました!
ずっとここまでジョイに感情輸入してたんで大きな結果を出して初めて報われたジョイに涙目になりました。感動のシーンです。
終盤 ラストのどんでん返しにスッキリ!
大きな売り上げを残し、これでハッピーエンド♪にはならないのがビジネス世界(わかんかいけど)。
売り上げは上がり続けてヒット商品になって幸せが訪れるとと思いきや、なんとジョイの祖母ミミが亡くなります。
さらに追い討ちをかけるように工場がパーツの値上げを請求。
売り上げがあがった事を見計らいモップのパーツを値上げしてきたのです。
それが原因でトラブルになったと父ルディから聞くジョイ。
ルディは「代理人を向かわせた」と言うが
ジョイは「代理人!?そんなの雇ってないわ。誰?」
その代理人とは姉ペギーだったのです。
この話を葬儀中にするなんてどんだけだよ。
でも本当にいるんですよねこーゆー人。実際にいたんです。僕の身の回りで…。それは置いといて、ペギーは「あちらの請求通り2万ドル置いてきた。払うべきよ。」と言う。
だが、これ以上相手の要求通りの額を支払うとお金は回らず借金が返せなくなります。
でもペギーは「お金はどうにでもなる。新しい商品を売るわアイデアはある…テレビに出れば簡単じゃない…」
おいおい嘘だろペギー!!
どんだけジョイが苦労してここまで来たのか隣で見てただろ!?
流石に父ルディも「そこまで言うな…簡単ではないぞ…」とフォローするが
ジョイには「今後一切代理人と名乗らないで」と怒られる始末。
だが、怒ったからって問題が解決するはずもない。ジョイはカリフォルニアにある工場に直談判しに飛びました。
工場長と交渉したが話は進まず、このままではどうにもならない。とりあえずトイレを借りたジョイ。するとトイレで何処かへ繋がる扉を見つけます。その扉の先には工場の現場が…しかも設計書もパーツも!
「これは…!」と思った所に工場長が現れ「お前は不法侵入だ!警察を呼んだぞ!」と言われ訪れた警官に不法侵入で逮捕される。
なんとか保釈金をルーディから借りて帰る事ができたがそのために使った費用と特許専門の弁護士を雇ったことで借金が膨らむ。
弁護士のおかげで今回の騒動は契約をめぐるただのトラブル扱いにされたが
待っているのは最悪の結果だった…。
あの時、特許実施料を支払った時点でジョイのアイデア、設計などはダラスの男のものに。トニーの心配事が的中ですね。
ここでもまたルーディは「それがビジネスよ!ツキがなかったのよ」
ツキぃ!?となりましたが言いたいことはトニーが全部言ってくれました。
弁護士は「何か打つ手があればいいですが…相手の不当な請求に対してもお姉さんが支払ってるので…交渉の余地はなくなりました。」
結果、長い法定争いになっても勝てる見込みが無いと言う事に…。
これはエグすぎる。ここ最近見た胸糞映画の中でもトップをいくレベルの胸糞さ。
結局アホが引っ掻き回した結果全て水の泡。しかもそのアホは反省の余地も自分達がしでかした事の重要性も理解してない様子。全てジョイのせいにしている。
残った道は自己破産しかない…。
それをルディ達の口から聞いた時は「お前に言われたくねえ!」と思いましたが、一番悔しいのはジョイ自身ですよね…。悔しい!!
追い討ちをかけるかのようにルーディは「ビジネスは理不尽なの!そんなもんよ!だから軽々しく発明なんてしないわけ!」
すげぇよくできたうざキャラだなぁオイ!!
うざさがリアルぅ!!
めちゃくちゃうぜぇ!て思うくらいこの作品よくできてるんですよね。すごい…。
自己破産の書類に書くときのジョイのセリフ「ママの言う事を聞くんだった。ママのように心を閉ざしてテレビの前を陣取って人生を送れば良かった!悪いのはミミ(祖母)。だからミミの話はやめて。馬鹿げた事を言って私の頭の中を汚染したのよ」
こんなセリフジョイから聞きたくなかったし本人も言いたくないのがひしひしと伝わる。
ひしひしなんてもんじゃないですね。ごりごり伝わります。胸に刺さりすぎてこのシーンは思わず涙が出てきます…。感情輸入しすぎかな…?いやでも夢を持った事のある人は誰しも共感するはず!
こんな悔しい事ないですもん!!自分は何のために生きてんだ!みたいな!
コロナの影響で夢壊された人たちとかまさにそうですよね。それこそウイルス災害で夢破れるなんて理不尽過ぎだし。
でも忘れちゃいけませんジョイはタフって事を。
朝トニーが目覚めるとジョイの姿はありません。
バッサリと髪を切り、意気込んでジョイが向かった先はダラスの男の所でした。
ジョイは諦めてなかったんです。あまりにも理不尽すぎる結果に納得せず根気強く調べ続けた結果ダラスの男の不正を暴き出したのです。
どんな不正か簡単に説明しますと
ダラスの男は香港にいるジョイのモップと似た製品を考えた人クリストファーの代理人です。
ジョイは代理人を通し実施料を支払ったのですが香港のクリストファーは実施料の事を知らなかった。
実施料はクリストファーじゃなくダラスの男に入っていたのです。これは完全に横領。
それに加え、契約書類を見直した所クリストファーのモップとジョイのモップに類似点が全くなかった。つまり根本的に別物。
実施料を支払う義務なんてそもそもなかったのです。
ダラスの男は2つも罪を重ねていたと言う事です。
でもジョイはすぐ訴えず1日待つ事にしました
「もしかしたらあなた…間違えただけかも。チャンスを与えたら正してくれるかも?」そう言ってダラスの男に「支払った実施料の返済に5万ドル上乗せで利子もつける」と言わせました。
そのときのニヤリとしたジョイの顔にドキッとしました。可愛い顔して契約書類を出し「今後一切金銭的権利を主張をしない事。それと返済額プラス5万ドル利子付きを追記。わかったらこの書類にサインして」とキレッキレの抜け目なさ。かっこいい…。
最後はサングラスをかけて意気揚々と帰っていきました。
それから数年後…。ジョイは大きく活躍していました。家を建て…家族を大切にし…みたいな。ミミばーちゃんがナレーションしてくれてます。
そのときのジョイの姿はたくましく凛々しい姿。
直向きに諦めず突き進むことを教えてくれるいい作品でした。
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